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リオの5月

そこはまるで、リオデジャネイロ

新人は「ストローを一本だけ持たされて太平洋に落とされた」ような気持ちになる(by元コンサルの回顧)~「職業としてのプロ経営者」より

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「若い頃にしんどかったのはコンサルタントになったばかりの頃です。太平洋の真んなかに落とされて、ストローだけ渡され「これでなんとか生き延びてみろ」と言われたような(笑)、そういう感覚でいました。なりふり構わず人に聞き、吸収していくことで、「スキルがストロー1本しかなくても努力次第で生き抜ける」という自信を持つことができたと思っています」

 

 

職業としてのプロ経営者 -プロフェッショナルマネジャー論-

職業としてのプロ経営者 -プロフェッショナルマネジャー論-

 

 

もうすぐ4月で、新入社員になる人は期待と不安の入り混じった時期を過ごしているのではないでしょうか。

何をしてよいかわからずに会計の本を買ってみたり、運動の習慣をつけようと突然ジムに入会してみたり、「なんか同期に凄い優秀な新人がいるらしい」という噂話に焦ったりする時期だと思います。

自分ももう10年近く前になりますが、おとなしくあきらめて花見でもしていればいいものを、「入社前の努力が肝心だ!」などと意識を高めた結果、空回りして消耗する最後の春休みでした。

 

仕事をはじめることの不安感。それはひとえに、「自分が何をしたらいいのかかわからない」ことに起因しています。働く前なんだから、当たり前ですよね。

これは組織にはいるとか、フリーランスで始めるとかは関係ない話ですね。「初めて仕事をする」ことの不安感自体は、組織に属する・属さないは大きく関係ないと思います。

では、仕事がはじまってしまえば、その不安感は消えるのかというと、おおかたの予想通り消えません。むしろ強くなります。

それは、「仕事が来たはいいけど、どうやって進めていいかわからない」というものです。

たとえば会社の新人だと、次の会議のアジェンダ設定みたいなものから、なにかの市場調査しておいて、といった指示までいろいろあると思います。

ただその中には、「えっ、全然どうしていいか全然わからないんですが」と焦って、手が震えるような指示がかならず来ます。先輩や上司に聞いても、それなりにやさしく対応してくれるものの、いま向かい合っている状況にピタリの答えなんてくれる確率は低いです。(仕事を振った当の上司も、実際のところ答えなんてわかっていなかったりします)

その仕事に向き合っている間は、食欲も無くなり、眠りも浅くなり・・・と完全に緊張状態です。やたら缶コーヒーやエナジードリンクを飲み始めるころですね

 

そんな時どうするか?ということは、仕事にもよるでしょうし、仕事ノウハウ本にすでにいろいろ書かれていることなので割愛します。

(仕事の依頼を受けるときのお作法とか、行き詰った時に仮説をもって質問するとか、よくまとめ記事とかになっている類の話しなので)

 

ただここで強調したいのが、組織人として、あるいは社会人として功なり遂げた人の多くが同じような不安感の中で戦ってきたという事実です。

冒頭に引用した、元コンサルタントの方の表現は、本当にそのあたりの不安感を的確に表現していると思います。

 

別にこの事実を知っていたからと言って、4月からの仕事がうまくいくと言うつもりはありません。

ただ、ちょっと安心しませんか?

エリート街道を驀進していた人が、何の痛みも感じることなくすいすいと「プロ」になっているわけじゃないんです。

本当にみじめな思いと、塗炭の努力をしながら精進の日々を送っていたのだと思うと、「こ、これは真似できない・・・とんでもな状況やナ」という思いと「こんな凄そうな社長達でも、こんなところからスタートしていたんか・・・」という、少し身近な気持ちになれます。

もう一か所引用しますね。ある経営統合プロジェクトのために、3社数か国から50人の選抜チームに選ばれた方の体験談です。

もちろんその時点でそれなりに優秀かつ実績のある方なのでしょう。

それなのに、その方の感じた最初の挫折感たるや相当なものです。

私は50人のメンバーのなかで50番目の存在。あらゆる面で能力の差が歴然としていたからです。それまでは周囲とのギャップを味わうたびに、なにくそと奮闘してギャップを埋め、それによって成長を引き寄せてきた私でしたが、この時ばかりはそうはいきませんでした。あまりにも大きなギャップがあったのです。悔しさや無力感をここまで徹底的に味わわされたことは後にも先にもありません。「49番目や48番目にさえなれなかった」のです

(「職業としてのプロ経営者 -プロフェッショナルマネジャー論-」)

仕事は必ずしも、自分と他人を比較すればいいというものでもないし、順位付けなんて意味はない。

そんな一般論は重々知りつつ、「50人中、自分が50番だと歴然とわかっている」のはやはりこたえるものです。

とはいえこの方も、冒頭の方のように荒海のなかでストローで息をするような日々を過ごしながら自分なりの価値を出していくというプロセスを踏まれています。

仕事をすれば、それは組織の中であれ、フリーランスとして組織の外であれ、かならず自分の枠自体を問われる瞬間が来ます。

そんななかでは、おそらく明日の仕事もつらいだろう、来週の仕事も重くのしかかってくる、来月になったってなにも改善していないかもしれない・・・という暗澹たる気持ちになります。

そしてその状況は、残念ながらというか当然ながらというか、自信で解決して、自信にその非定型な知見を蓄積していくほかないのだと思います。

そして乗り越えられた後は、いつか来る同じ悩みを持つ後輩を救う助言やヒントとして取っておけばいいと思います。

 

本書「職業としてのプロ経営者 -プロフェッショナルマネジャー論-」は、そんな不安の壁、不安の太平洋で必死に立ち泳ぎしてきた人たちのエピソードがいっぱい詰まっています。

「プロ経営者」とか「元コンサル」と言った言葉に、平板な印象を持っている人にとっては、大きな意識転換になる一冊だと思います。

そして、壁に向き合っている人には、諸先輩の苦労話を聞いてほんの少し安心する作用があるかと思います。

最後に、この書のエッセンスを集めたような一言を引用して締めたいと思います。

 

試練については、話し出したらキリがなくなるくらい体験してきました(笑)。社会人になってからだけでなく、学校受験でも失敗や試練をたくさん味わいました。振り返ってみると、人生の節目ですんなりといったためしがありません。でもこれが私の強さにつながっていると感じています。

(マークテック株式会社 栗原一博氏)

上記のセリフ、傑作麻雀漫画「天」のアカギのセリフを思い出しますね。

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天?天和通りの快男児 18

天?天和通りの快男児 18

 

 

 

以上です。

良い春休みを・・・(私は仕事ですが)

 

 

職業としてのプロ経営者 -プロフェッショナルマネジャー論-

職業としてのプロ経営者 -プロフェッショナルマネジャー論-